トランプ私感

トランプ政治の危うさは理念先行過ぎる点にあると思う。あまり現実を見ていない。
国際社会というのはリアリズムの世界であり、現実的な思考がなくてはならない。しかしトランプにはそれが顕著に少ない。
 
そして自己顕示欲が強く、大統領になったら自分がやりたいことができると思い込んでいるように見える。世論の国であるアメリカではかなり危険だと思う。実際過激な反対運動が起きているらしいが、それに配慮するようにも見えない。ふとした事件をきっかけに風向きが変わり、史上最低の大統領と言われかねない。逆に決断力はあるため、そこを高く評価される可能性もある。
 
自らの側近もかなり不安要素が残る。無難ではない代わりに、一癖も二癖もある人物ばかりだ。大胆なことはできそうだが、大胆にやりすぎる危険性があり、それが簡単に行われる危険もある。中にはマティス国防長官のようなストッパーも存在するので、うまい具合に安定することを期待している。
 
「アメリカ・ファースト」はトランプの標語である。まずないと思うが、もしこれに人種差別の度がすぎるとそれは、ゲルマン第一主義を標榜したヒトラーと結果同じことになってしまう。
 
最も恐るべきはアメリカに対する世界の尊敬が失墜することだ。
結果はともかく世界の問題に対し、アメリカは「正義」を大義名分に警察の役割を果たし尊敬を集めてきた。ほとんどの国にはやろうと思ってもできないことだ。国連も軍事的な影響力は皆無の国際社会で、その軍事力と経済力で問題をけん制し、時には介入して処理してきた。しかしトランプはそのような「正義」の行動は今の所しそうにない。アメリカさえ良ければいいと思っている節があり、たとえ世界がめちゃくちゃになろうともアメリカに資する外交行動を採ると思われる。それはすでにメキシコとの国境壁、イスラム教の無条件拒否などで見られる。アメリカ国内の人々にとってはいいかもしれないが、それによってアメリカの「外」で起こることをなんとかしようとは考えない。それはもはや中国と同じで、国際社会からの尊敬を集めることはできない。国際社会の難しさに直面し、考え方を変えることを祈る。
 
前から言っているように、トランプの登場はパックス・アメリカーナの終わりの始まりなのだ。
 
大統領になってもなる以前と変わらずツイッターで考え方を呟く。それは本人は私的なものと考えていても、周りからは国家の公式見解と同じと捉えかねないだろう。
 
明らかに世界は今までの形から変わり始めている。ブリグジット、トランプに始まる世界のナショナリズム旋風は、そんなに長く続かず、一時的なものであると思っているが、それにしても今までとはだいぶ違った世界になるであろう。
もっとも日本にとっては外交面を中心にトランプ歓迎の論調が強い。そこはありがたいと思いつつ、世界全体を考えると、一体どうなってしまうのだろうかと考えずにはいられない。